例の古民家改修計画の近況です。
既存木造部分の腐った材等を入れ替え、周囲に鉄骨を建て方した状態です(下図)。
当然のことながら、90年前の木造なので、精度は現在の鉄骨と比べ物にならないぐらいなので、各箇所現場で実測し、それに合わせて鉄骨を作るという手間のかかる作業。
それでもなんとか建て方を終了。
ここの部分に、軒がとりつくつと、こんな感じです ↓
伝統的な田の字平面に耐力壁等をつけることなく、建具を外せば深い軒下まで一体となる空間。
前回行った時は、暑さを感じない気持ちの良い風が通り抜けていました。
また、既存部分の天井の一部は剥がされ、小屋組みを見上げることができ、水平方向だけでなく鉛直方向にも抜けているのが面白い所です。
ここで、架け替えれなかったためそのまま使用した梁に関して、安全を確認する作業が発生。
手前が1階から抜けている部分で、手前に2本(と床下に3本)架かっているのが架け替えれなかった梁で、この部分は後ろに見えている窓の開け閉めのために用意されているだけなので、積載荷重はそんなに見なくてよいとして良いことを事前に役所と協議したはずだったのですが、幅が広いので(構造的に平面剛性が必要だっただけなのですが)居室用途にも使えるのでは?と指摘があり、居室用積載荷重で設計することに。
もともと材種と強度がわからなかったので、最も弱い木材と仮定して計算していましたが、実際には90年の間に十分乾燥し、もともと強度のある樹種と思われるので、居室用床荷重でも問題ないと思われましたが、何らかの方法で確認してくださいとのことだったので、梁1本に大人5人載って基準法上に定められた積載荷重よりちょっと重くして安全を確認しました。
(撓みを測定し、撓みからヤング係数を逆算後、そのヤング係数に相当する許容応力度とした。)
まぁ、なんともおかしな写真です。
ひょっとしたら大工さんたちは
「この設計屋、暑さで頭がおかしくなったんじゃないか?」
と思っていたかも。
あと、1カ月ほどで完成予定。
どのように仕上がるか楽しみです。